小さな村の豊かさとはなにか~信州大学の学生さんを迎えて~

信州大学の学生さんにむけて、奈川の“豊かさ“について授業を行いました!

信州大学でその講義をした後、後日奈川にフィールドワークに来て頂きました。

講義では、まず奈川の自然や歴史、そして厳しい気候の中で育まれてきた暮らしについてお話ししました。

雪深く、決して便利とは言えないこの土地。

そんな環境だからこそ、人々は保存食を作り、山の恵みをいただき、知恵を受け継ぎながら暮らしてきました。

そして、私たちが地域の方々から何度も聞かせて頂いたお話があります。

「昔の方が幸せだった。」

最初は少し意外にも思えたこの言葉。

でも、たくさんの方のお話を聞かせて頂くうちに、その理由が少しずつ見えてきました。

昔は今よりずっと不便で、お金も決して豊かではありませんでした。

それでも、人は人を頼り、人に頼られ、お互いを気にかけながら暮らしていました。

不便だったからこそ支え合うことが当たり前で、

その積み重ねが、人との深いつながりを育んできたのだと感じています。

便利さや物の豊かさは、きっと今の方が上です。

それでも地域の方々は、「心は昔の方が満たされていた。」

と口をそろえて話されます。

私たちが奈川で感じる豊かさも、まさにそこにあります。

そこで学生のみなさんに、「あなたにとって、豊かな暮らしとは何でしょう?」と問いかけました。

それぞれが自分の人生を振り返りながら、

私たちの話も重ね合わせ、一人ひとり自分なりの「豊かさ」を考え、発表して下さいました。

現代を生きる若い世代も、「豊かさ」とは何なのかを真剣に考え、自分の言葉で向き合ってくれている。

その姿がとても嬉しく、私たち自身も改めて考えさせられる時間となりました。

そして、その答えを探しに、後日みんなで奈川へフィールドワークに来て頂きました。

フィールドワーク当日は
まずは郷土食体験!
「えだんご」作りに挑戦してもらいました。


1人一つずつお椀にそば粉を練り、それを茹でてそば団子を作り。


えごまを炒って、すり鉢ですってえごまダレを作り、それをそば団子とあえる。


本来は秋に採れたカボチャやイモ、カブなども一緒に和えます。
そばにお湯を注いだ時のかおり、えごまのはぜる音。
五感をたくさん使って、奈川の郷土食に触れてもらいました。


その後は、お昼ご飯!


〇フキとワラビとサバ缶を具材にした、フキご飯。
→ワラビはあえて乾燥ワラビを使って、保存されたものと、今採れるフレッシュのものの比較が出来るように。〇わらびの酢漬け。
〇クワの葉、イタドリ、ヨモギの天ぷら。
→養蚕が多くの家庭で行われていたこの地。現在、養蚕農家はありませんが、クワの木は多く残っています。そんな歴史の歩みと共に。
〇ミズナ(ウワバミソウ)のお味噌汁。
→今が旬!
〇赤カブの漬物。
→これぞ奈川代表の保存食!

調理を手伝って頂いた、奈川のお母さんの「そば餅」の実演試食も急きょやってくれました!
「そば団子」「そば餅」「そばがき」「そば(麺)」
そば粉を使って作られる様々な料理。
奈川の人々がまさに蕎麦で育った証です。

こんな食事を、調理を手伝って頂いた地元のお母さん達や、地元の方も招いて、一緒に囲みました。

かつての奈川の話から、人生相談まで、かなりディープな会話の飛び交うお昼ご飯でした。

午後は、奈川の方のお宅訪問&インタビュー!


5件ものお宅にご協力頂きました。


お茶菓子でもてなして下さるご家庭もあり、海外からの留学生は、
「日本にきてこんなに幸せな食事は初めて」と表情をゆるませ。
「地元のおばさんの家にきたみたい」と故郷の韓国を思い出したり。


「小学生の頃は、家に帰るとボテを背負ってクワの葉を採りに行くのが仕事だった。」と聞き、お昼に食べたクワの葉の意味をさらに深く感じ。
お話の内容も、それぞれの方に様々で。
畑を見せて下さる方もいたり、


保存食を作る漬物部屋までのぞかせて頂いたり。
留学生も多く、方言を聞き取るのに苦労しながらも、
言葉ではない、奈川の方たちの暮らしや温かさにドップリ浸る時間になりました。

最後の振り返りで、互いの訪問先で聞いたことや感じたことを共有。


「今の奈川を盛り上げようと頑張るが、人手や資金がなかなか集まらない。」といった課題から、
「物理的には不便だが、それだからこそ人の暖かさが育まれた。この人の繋がりこそが豊かなのだと思う」
まさに、私たちの思う確信を感じてくれていました。

毎度ではありますが、今回は特に!地元の方たちのお力を本当にたくさん頂き、本当に感謝に溢れております。
提供するお料理の作り方や、必要な道具や山菜などの材料の手配のご協力。
これをやると決めてから、何度も練習し、出会う人出会う人に、作り方を質問ぜめにし、味見を強いて感想をのべてもらい。
お料理のお手伝いの方から、インタビューに応じて頂いた地元のみなさん。
本当に、ありがとうございました!!!
6-70代の方々に多く質問しましたが、
「「フキご飯」や「えだんご」は自分の親に作ってもらって食べた料理。自分では作らなくなったからわからない。」と答える方も少なくなく。
「そんなことも知らなくてごめんね。ダメだよねぇ」と嘆く言葉も聞こえてきたり。
インタビューも「せっかくなら、90代のまだお元気な方にお話しをしてもらうように頼んでごらん。貴重だぞ。」と紹介して頂いたり。
そのおかげで、消えつつあるのかもしれない知恵や、人々の言葉に触れる事が出来ました。

やっぱり白状します。
学生を出汁に、一番、奈川を学ばせて頂いたのは、まぎれもなくだいじ屋の私たち本人です。
訪問先の方の口からあふれ出た、「昔は楽しかった。車のない生活に不便なんて思ったこともなかった。家族みんなに仕事があって、それが楽しかった。」の言葉。
「木を運ぶソリに乗って雪の上を滑るのが楽しくて、大人に怒られてもやり続けた」あぁ、私もその瞬間に戻って一緒に遊んでみたい!と心から感じて何だか涙がでそうになったり。
「今でもここにいるのは、人の繋がりあるから。ここの魅力は人だと思う。本当に日々助けて下さるみんなに感謝している。他へ住むことは考えたこともない」
手作りのお茶菓子を囲みながら、確かに伝わるその想いに、感動がやみませんでした。

学生の中には、留学生も含め、自身の地元が過疎地の学生も多く、地元に戻って貢献したいという想いを胸に、その方法を模索している学生もいました。
「このフィールドワークがとても参考になる!」と思い熱く語ってくれる学生もおりました。

この素晴らしい機会を下さった信州大学のみなさん、たくさんご協力下さった地元のみなさん、本当にありがとうございました!

学生だから、先生だから、受け入れ側だから、関係なく、この二日間が日本の、世界の、消えつつあるその地域にしかない火だねを絶やさない、ひと風に繋がっていたら嬉しいと、願いを新たにした時間でした。

出会い、関わって下さったみなさま、共に頑張りましょう!
今後ともよろしくお願い致します!!

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